大体が突然

春に会える君を追い求めながら、光の渦へと

選択と追求―2023年1月~3月の現場―

小さい頃から、選択することが苦手だった。

例えば、好きな服を買ってあげると言われた時。何種類かのパンやお菓子を家族で分ける時。中学で部活に入部する時。大学でサークルに入る時。就職先を決める時。

複数の選択肢から、1つだけを選ぶことが苦手だった。どれが正しいのか、わからなかったから。実際、なかなか自分の中で折り合いを付けられなくて、選択をやり直したことも何度もある。そんな風に間違うのが、怖かったからである。

 

そんな私は、年が明けた2023年、転職活動を始めていた。前から転職したいとは考えていたし、行動に移すこと自体は難しくなかった。ただ、どの会社が良いのか、そもそも転職すること自体が正しいのか、確信を持てないまま面接を受け続けていた。

その一方で、ジャニーズの現場は途切れることなく続いていて、どの現場も、転職活動と仕事の両立でそこそこ疲労していた私に、いつでもエネルギーをくれた。

 

☆☆☆

 

舞台「ぴーすおぶけーき」で表れた基には、心底ほっとさせられた。限りなく日常の虹見ヶ丘団地で起こる非日常的なアルパカリアンの騒動、そこで下田くん、中村氏、上原先輩が「おバカ」だからこそ保ち続ける人間らしさと、意外と奥の深い物語。でもやっぱり笑いに包まれていて、アドリブも多くて、お悩み相談も温かくて、大学時代の先輩(おひさま)と行った1回目も、Web面接を終えて急いで向かった2回目も楽しかった。あと、東京モノレールが都会の合間を縫ってたどり着く天王洲銀河劇場、何だかテンション上がるよね。

「慣声の法則」は、12月の関ジャニ∞PayPayドーム以来1か月ぶりの福岡で、あまりの頻度に笑ってしまったけど、いつも穏やかな北斗担と一緒に回れて楽しかった。福岡は本当に食に尽きないし、どこも美味しいし、念願のパンストックにも行けたし、マリンメッセ福岡は本当に港にあって海風も強いし、いつ行っても新鮮な驚きがあるなと思う。肝心のライブは、個人的にはSixTONES史上一番楽しくて、歓声がある程度出せるようになったのもあって、会場が揺れるような盛り上がりを体感できた。最近のストの曲が好きなのもあるし、MCでスト担に話しかけに行くのも相変わらずだし、こっちも無敵な気持ちに包まれながら、羽田空港まで帰った。ドームも楽しみだな~!

舞台「ダッドシューズ」は、初めて舞台のために日帰りで大阪遠征することになって、上手く行くのかドキドキしながら、何年ぶりかの新大阪駅に降り立つことなった。大阪に住んでいる友人にも久々に会えて、奏と結星がお世話になった、アンコールのたこ焼き「ゆき」の明るくて優しいおっちゃんと、ふわふわでだしの香る(そして破格の安さの)たこ焼きも食べられて、観劇前の時点で相当満たされていた。舞台そのものは、夢を探す若者の前向きなファンタジーを、パワフルなダンスと歌で彩っていて、マモルと若木翔の父子の温かい絆にもエネルギーをもらえた。何より、普段は飄々としている横原、本当に憑依型で面白い。大阪まで来て良かった!と思わせる満足感を抱きながら、一方で終電近い新幹線にダッシュで乗り込む自分をおかしく思いながら帰った。

最初は親戚の付き添いというスタンスで向かっていた「Travis Japan Debut Concert 2023 THE SHOW ただいま、おかえり」は、2回目の月岡温泉に向かう道中、周囲がどんどん雪に埋まっていき、見たことのない光景と底冷えする寒さに、雪国たる所以を思い知っていた。こちらも2回目の「湯あそび宿 曙」も、影山が新潟温泉Jr.で訪れていたことが判明して嬉しかったし、食事も温泉も堪能できた。激込みの新潟駅前から何とか脱出して向かった雨の中の朱鷺メッセ、「on EST」以来のコンベンションセンターに懐かしさを覚えながら、開演まではのんびり親戚としゃべっていたのもつかの間、The Showのイントロ、宙に浮いたオープンカーで登場した7人に度肝を抜かれてから、みるみるうちにTHE SHOWの世界観に引き込まれていった。懐かしい曲、留学時代に培ったであろうパフォーマンスの両方を堪能しながら、演出も華やかでダイナミックで、でもMCは相変わらずオチのないままころころ話題を変えながら楽しくしゃべっていて(そこが良い)、挨拶は皆力強くて、やっぱりTogether Nowは胸にくるものがあって、進化はしているけれど変わらないTravis Japan、7人の「ただいま!」に答えるトラジャ担の温かい「おかえり!」の声、それを聞いた7人の心から嬉しそうな顔が、これからも続くTHE SHOWの全てを表している、と直感的に思った。あと、のえげんの「君だけに」で反射的に双眼鏡を構えて如恵留を追い続けていた私は、完全に心を奪われて、帰路でも忘れられないままひたすらツイートを遡っていて、気が付いたら新幹線が到着していた。怖い。しかも、オーラスぴあアリーナMMにも急遽入って、ラスト「君だけに」を見届けてしまった。マジで怖い。それから、パフォーマンスでも一番上がった「JUST DANCE!」、やっぱり大好き!

初夜勤で3時半に寝た後、迎えた舞台「キングダム」、恐らく中学生以来の帝国劇場の重厚感を楽しみながら、眠気0な自分に怖さを覚えつつ、明治リッチストロベリーチョコレート1枚を収めて臨んだ大舞台は、さすがのスケールの大きさで、展開とアクションに息つく暇もなく舞台が終わっていた。どのキャストも魅力的で、本気で演じていることがひしひしと伝わってきた。がちゃん演じる成蟜は、残酷でありながら不利に転じると逃げ惑う姿が何ともコミカルで、柔らかい落ち着いた普段の声も低くよく通っていて、ていうか、がちゃんが演じることで可愛さが増されていた気がするよ。「らんかーい!!」って呼ぶ声と、最後下手で捉えられて大人しくちんまりしゃがんでいる姿、多分忘れないよ。笑

そして3月8日、転職活動が本格化する中迎えることになった「東西ジャニーズJr. Spring Paradise 2023」。待ちに待っていた、最初で最後かもしれない、IMPACTorsの単独ライブ。しかも、エイター時代から憧れで、一度も入ったことのない松竹座が舞台なことにも運命を感じながら、一方で翌日に最終面接を控えていることに焦りを感じながら、1か月ぶりの東海道新幹線に乗り込んだ。正面から見る松竹座は、和洋折衷でいかめしくありながら全部盛りの感もあって、入り口に溢れるPINKyの波に揉まれてますます緊張しつつ、2階席でもひたすらそわそわしていた。でも、いざライブが始まると、表れた7人は確かに実在していて、ずっと少クラで観ていた曲、YouTubeでしか聴いたことなかった曲、セトリ上でしか見たことなかった曲、どれをとっても夢のようで、MCはサマパラレポで直感的に思ったとおりやっぱり話題が尽きなくて面白くて(ちゃんとオチがある!)、7人の軌跡を追体験しながら、これからの決意をU R not aloneからしっかりと受け取りながら、あっという間にライブが終わっていた。IMPACTors、皆魅力的だと思うんだけど、その様子が見られて本当に嬉しかったんだけど、やっぱりいつでも全力で良く笑うかげ、大好きだよ。

転職活動も目途が付き、3月最後の現場だった「波と暮らして/ラストパイ」は、まさかのスプパラから1週間後に再び大阪に向かうことになり、あまりの頻度に笑ってしまったけど(デジャヴ)、こちらも中学生の頃から知っていた森ノ宮ピロティホール(丸山の「ギルバート・グレイプ」の大阪公演がそこで、チラシを見ながらどんなところなんだろうと想像を膨らませていた)、意外と真黄色の外壁にびっくりしながら笑、そして事前にちらっと見たレポを少し不安に思いながら、開演を迎えた。そもそも完全なコンテンポラリーダンスのみの舞台が初経験の中、「波と暮らして」が表現するものを頭をフル回転させながら掴もうとしていたけど、「ラストパイ」ではがらりと雰囲気が変わって、単調なビートが身体全体に響き渡る中、暗がりが明けて現れた踊り子、織山は、明らかに「儀式」だとわかるような服装で踊っていて、はっと息を呑んだ。背景で繰り返される、愚かに争い続けるかのような群衆の動きとは対照的に、一点でひたすら繰り返し踊り続ける織山と汗、そのコントラストと、一瞬だけ仰向けに倒れ込んだ時、激しく上下する胸を見て、どうか早く終わりますように、そう願わずにはいられなかった。最後のカーテンコールでは、キャストに両肩を支えられながらおぼつかない足取りで、それでも観客に応えるかのように何度も出てきて頭を下げ、その姿に胸がいっぱいで、拍手することしかできなかった。あまりに圧倒されて、終演後1時間ぐらい大阪城公園をぼーっと歩いていたぐらいだった。やっぱり大阪に来て良かった、その気持ちを抱いて、何となく眠れないまま、新幹線で帰った。

 

☆☆☆

 

私が観た誰もが皆、それぞれの選択の上に立っていること、その結果をパフォーマンスとして表していた。続けること、辞めること、デビューすること、どれが正解かはわからない。どの道を選んでも、厳しいことは確かだけど、それでも、舞台に立つこと、表現することを止めない。前に向かう先には、必ず光があると思わせてくれた、そんな3か月だった。

当の私は、何とか転職先を決めることができた。今までの会社とかなり違う環境で、チャレンジしないといけないこともあるけれど、きっと「あの時選んで良かった」と思えるはずだから、自分を信じて。これからも、見たことのない景色(現場と場所)を、まだまだ自分の目で確かめたい。何より、今を楽しんで!

これからも、春に会える君を追い求めながら、光の渦へと。